新進気鋭の杜氏が描く未来へつなぐ酒造り
みなさん、こんにちは。ベルです。
香り豊かなNo.8 黄丹(おうに)は、もう嗜まれましたか?
今回ご紹介する酒蔵は、神話の舞台として知られる出雲の地、島根県。
ここに息づく酒蔵のひとつ、「田部竹下酒造」さんです。
2022年に創立したこの酒蔵は、長い歴史を持つ田部家と竹下家の物語が交錯する、深い背景を持っています。
150年の歴史。始まりは鎌倉時代
鎌倉時代から続く名家の田部家は、日本古来の製鉄技術たたら製鉄で栄え、酒造りもその事業の一つでした。
その後、撤退した後は権利を譲り、竹下家が150年にわたり酒蔵を守り続けました。
しかし、2022年に田部家が再び酒蔵を譲り受け、両家の縁を尊重して「田部竹下酒造」として新たにスタートを切ったのです。
生き物に魅せられ杜氏の道へ
そんな田部竹下酒造の杜氏に抜擢されたのが、杜氏・濱崎良太さん。
濱崎杜氏が酒造りに興味を持ったきっかけは、幼い頃から大好きだった昆虫や生き物にまつわる学問からでした。
大学で環境微生物について学び、大学院では細菌の研究に没頭しました。
その中で、「日本酒はお酒の中で一番難しい製法」であることを知り、酒造りに挑戦したいと思うようになったそうです。
日本各地で酒造りを学び、9年間の修行の後、田部竹下酒造で杜氏の道を歩み始めました。
歴史と専門知識が生んだ一杯
杜氏としての初めての年。
歴史があるがゆえの蔵・設備の古さに悩みながらも、さっそく酒の仕込みに挑戦しました。
今あるものを活用してなんとかする。
不完全な状況の中で冷静沈着に、蔵人とわずか3人で初めての酒造りを果たしました。
「微生物学的な知識が日本酒造りにどう活かせるかを考えました。」
もともと、酵母や菌がもたらす発酵によって香りが生まれることに魅力を感じていた濱崎杜氏。
そうして誕生した日本酒「理八(りはち)」の香り高い味わいは、まさに新しい時代を感じさせる一杯です。
記憶に残る香り高い日本酒を
濱崎杜氏が目指しているのは、「人の記憶に残る香り」。
日本酒の成分は、お水80%、アルコール約15%、糖分約2%で構成されているそうですが、残りの3%が香りや旨み成分なのだそう。
ここの違いが、美味しい・美味しくない等の味の違いを生み出します。
「香りは人の記憶に残る。だからこそ、どの酒よりも香り高いものを作りたい。」
細かなこだわりと繊細な感覚を研ぎ澄ませ、飲んだ瞬間に香りが広がる、記憶に残る日本酒を醸しつづけています。
十彩限定「黄丹(おうに)」をご紹介
そんな田部竹下酒造の想いとこだわり共感し、十彩プロジェクトでは、といろのお酒「黄丹(おうに)」をともに造り上げました。
No.8 黄丹(おうに)
田部竹下酒造(島根県)理八
杜氏/濱崎 良太
まるでまばゆい火花のように鮮やかな橙色の「黄丹」は、蔵元と杜氏が切磋琢磨して磨き上げられた一本。
クリアでフレッシュな酒質と完熟りんごのような重厚でフルーティーな香りが記憶に残ります。
実際に味わってみると、果物のような豊かな香りと飲みやすさが見事なバランス。
何度も飲みたくなる味わいで、今この記事を書いている最中も飲みたくて仕方ありません(笑)
時代の"美味しい"に寄り添う酒造り
濱崎杜氏が目指すのは、「その時代に合わせた、お客様が求める酒造り」。
“美味しい”の基準は、50年前、50年先も、自分ではなくお客様が決めるもの。
だからこそ、自分の作りたいお酒ではなく、お客さまに喜ばれるものを作るために日々酒造りに向き合っています。
記憶に残る香りーー濱崎杜氏が目指す「香り酒」がこれからもずっと、多くの人々の記憶に刻まれていきますように。
💡2025年4月より毎日深夜2時〜
BS日テレで放送中!(日曜除く)
日本各地の100年以上の歴史を持つ酒蔵で、若き蔵元や杜氏が挑む酒造りの物語。
その真摯な姿と熱い想いを追うドキュメンタリー番組。
『その酒に人は宿る 若き匠が挑む、10の物語』