型破りで挑戦的な、ここでしかつくれない酒。
群馬の山あいに、世界が注目する酒蔵があります。
創業から約110年。一般的に日本酒づくりに使われる酒米ではなく、食卓で普段食べる飯米を使い、米を削らずに完全無添加の独創的な酒を醸す、土田酒造。
そんな型破りな酒を醸すのは「赤香(あかこう)」をつくる杜氏・星野元希さんです。
土田酒造との出会い
星野さんは酒造りの専門学校を卒業後、父の実家がある群馬県の酒蔵に片っ端から電話をかけましたが、当時は焼酎ブームでほとんど相手にしてもらえませんでした。
たった一人、星野さんに興味を持ったのが土田酒造六代目蔵元・土田祐士さんでした。
酒造りは大変なので、最後には『やっと終わった』となる人がほとんどなんです。でも星野くんは『もう終わっちゃうんだ。早く次来ないかな』と。絶対いいものをつくるという確証がありました。
そして星野さんは土田酒造で修行を積み、27歳で群馬県内で一番若い杜氏となりました。
瀬戸際にあった酒蔵を変えた、運命の酒
当時、土田酒造はこのままだと10年もつかどうかの危機的状況だったそうです。
星野さんは酒蔵を立て直すヒントを探すため、蔵元の土田さんと100本の利き酒を重ねる中で新政酒造の日本酒に出会います。
秋田の米だけを使った完全無添加の、この蔵でしか出せないオンリーワンの酒。
その圧倒的な個性に衝撃を受けた星野さんは忙しい合間を縫い、新政酒造で1週間修行し、創業当初からの造り方を根本から改革。
全ての酒を「生酛(きもと)造り」へと切り替える一歩を踏み出します。
「生酛造り」とは、蔵にすみつく乳酸菌をつかって発酵させる、昔ながらの製法です。すべて手作業で造るためかなりの労力を必要としますが、深みのある濃酵な味わいとコクが出るのです。
飯米への挑戦が代表作を生んだ
そんな改革のさなか、星野さんのもとに舞い込んだのは、酒米ではなく食用の飯米で酒をつくってほしいというオーダー。
通常、飯米ではきれいな酒をつくるのが難しいとされています。
しかし、完成した酒を口にしたとき、星野さんの口から出たのは
「なんじゃこりゃ、うまいじゃないか」
これをきっかけに土田酒造はほとんどの酒を飯米に切り替えました。
「どんな米も酒にする」型破りな挑戦と独創的な酒造り
いまや土田酒造のもとには、全国の農家から、自分たちのお米をお酒にしてほしい、破棄せざるをえない飯米をお酒にできないか、といった依頼が後を絶ちません。
星野さんは言います。
「手を抜く農家さんはいないし、どんな米も酒にできるなら土田としてはそっちのほうがかっこいい。」
酒造りの常識を打ち破りながら、土田酒造は“これからの日本酒”を切り拓いていきます。
土田酒造の独創的な一本「赤香」
そんな土田酒造の挑戦を応援したいという思いから、十彩では新しい日本酒「赤香(あかこう)」をともに造り上げました。
No6. 赤香(あかこう)
土田酒造(群馬県)
杜氏 星野元希
香木を染めて出す伝統色の「赤香」のように、香りへのこだわりを込めた一本。
熟成感のあるふくよかな香りとコク、後味には水の良さが余韻に残る、きれいな口当たりが魅力です。
日本酒のイメージを覆すような、他では味わえないくせになる飲み口です。
伝統の生酛づくりにこだわりながら、革新的で挑戦的な酒造りを続ける土田酒造のクラフツマンシップを一緒に応援しませんか?
💡2025年4月より毎日深夜2時〜
BS日テレで放送中!(日曜除く)
日本各地の100年以上の歴史を持つ酒蔵で、若き蔵元や杜氏が挑む酒造りの物語。
その真摯な姿と熱い想いを追うドキュメンタリー番組。
『その酒に人は宿る 若き匠が挑む、10の物語』