500年の伝統を継ぐ匠の挑戦。
皆さん、秋田県の日本酒「飛良泉(ひらいずみ)」をご存じですか?
すっきり軽快な喉越しとフルーティーな香り、そして最後に残るわずかな酸味が特徴的な「飛良泉」は、秋田県にかほ市の海沿いで誕生しました。
ここ「飛良泉本舗」はなんと創業1487年!
戦国時代が始まる前から続く、東北最古、日本で3番目に古い酒蔵と言われています。
そんな500年以上の歴史を背負い、今、新たな挑戦をするのが、飛良泉「深藍(ふかあい)」をつくる27代目・齋藤 雅昭さんです。
祖父との思い出が導いた、酒造りの道
「500年ってとんでもない歴史ですよね。幼いながらに、その重さは感じていました。」
そう語る齋藤さんは、大学を卒業後、広告業界に進みましたが、「この歴史を継がないわけにはいかない。」と30歳のときに27代目として蔵を継ぐ決断をされました。
酒造りの道へ進むことを決めた齋藤さん。
その”覚悟”のきっかけは『祖父との思い出』にありました。
幼い頃、祖父に連れられて酒蔵の中を探検した日々。
日本酒造りに関わる生きものや、発酵という工程を目の当たりにし、祖父と酒蔵で過ごした時間は、不思議ととても印象に残っていたそうです。
長い歴史と伝統を受け継ぎながらの挑戦
「あの時、祖父なりに酒造りの面白さを教えてくれていたのかもしれない。」と当時の思い出が、大人になってフラッシュバックしたことが、蔵を継ぐ理由の一つに繋がりました。
責任に押しつぶされそうになることもありましたが、現在、酒造りをはじめて3年目。
当時、祖父が酒蔵に取り入れた伝統的手法「山廃(やまはい)仕込み」を受け継ぎ、現代の人々の嗜好に合う「新しいお酒造り」に挑戦しています。
祖父との色褪せぬ思い出と、齋藤さんの並々ならぬ覚悟と挑戦。
そんな飛良泉本舗の家族の物語に、私は目頭をあつくさせずにはいられませんでした。
飛良泉が貫く、伝統の『山廃(やまはい)』
伝統的な酒造りの「山廃仕込み」は、飛良泉のこだわりです。
そもそも「山廃」とは、”自然の中にある乳酸菌”をつかう手法「生酛(きもと)系」の中の一つです。
明治時代まで日本酒はこの方法で造られていましたが、現代の日本酒の約9割は、”人工の乳酸菌”を使用して造られています。
山廃(やまはい)は、人工の乳酸菌を使わず、自然の乳酸菌を育て増やしていく製法。
そのため、現在主流の方法と比べて4倍近くの手間がかかるそうです。
なぜ飛良泉が「山廃」にこだわるのか。
それは、祖父がこの酒蔵で確立した技術であり、「山廃(やまはい)」が醸し出す『酸』に齋藤さん自身も惹かれているからだそうです。
「モダン山廃(やまはい)」という新境地
しかし「山廃(やまはい)」と聞くだけで、濃醇でガツンとくる味わいが苦手な方も少なくないようです。
そこで飛良泉(ひらいずみ)は、それを感じさせないくらい、フルーティーですっきりとした飲みやすさと、山廃(やまはい)が織りなす「酸」をほのかに感じられる「『モダン山廃(やまはい)』を目指しました。
「酸」は味に厚みをもたらし、飲み飽きしないお酒に仕上がるそうです。
お料理との相性もよく、ペアリングを楽しくさせてくれる存在。
その「酸」を表現するには「山廃(やまはい)仕込み」は欠かせないと思うと語っています。
飛良泉本舗 飛良泉の新たな挑戦「深藍」
そんな飛良泉(ひらいずみ)の挑戦を支え応援したいという思いから、十彩では新しい日本酒、飛良泉「深藍(ふかあい)」をともに造り上げました。
No1. 深藍(ふかあい)
飛良泉本舗(秋田県)飛良泉
蔵元/齋藤 雅昭
秋田県、鳥海山の恵みの山廃仕込みで、柔らかなキレのある味わい。
すっきり軽快な喉越しとマスカットやメロンのような上品な香りを堪能できます。
齋藤さんがおっしゃるように、すっきりと軽快な喉ごしですが、やや濃さと酸味も感じて、「料理と合わせてもう一杯飲みたくなる!」そんな味わいです。
500年以上の歴史と、人々に寄り添う気持ちが生み出した「モダン山廃(やまはい)」。
新しい日本酒作りに挑戦する飛良泉(ひらいずみ)のクラフツマンシップを、一緒に応援しませんか?
💡2025年4月より毎日深夜2時〜
BS日テレで放送中!(日曜除く)
日本各地の100年以上の歴史を持つ酒蔵で、若き蔵元や杜氏が挑む酒造りの物語。
その真摯な姿と熱い想いを追うドキュメンタリー番組。
『その酒に人は宿る 若き匠が挑む、10の物語』