栃木・相良酒造。女性杜氏の静かなる挑戦

栃木・相良酒造。女性杜氏の静かなる挑戦

伝統文化と、父の想いを継ぐ決意

こんにちは、十彩プロジェクトのベルです。
今日は、栃木県栃木市岩舟町にある相良(さがら)酒造の物語をご紹介します。

1831年(天保2年)創業の相良酒造は、創業192年を迎える歴史ある酒蔵。

その歴史のはじまりは、創業者・相良與平さんが「酒造りに適した水を求めてこの地を選んだこと」にあります。

そんな蔵の今を支えているのが、10代目杜氏・相良沙奈恵さん。
現在、代々受け継がれてきた代表銘柄「朝日栄(あさひさかえ)」をメインとした酒造りを、母とパートさん3人という少数精鋭で続けています。


歴史ある酒造りと先代の思いを守りたい

子どもの頃の夢は、ピアノの先生や幼稚園の先生。

そんな沙奈恵さんが蔵を継ぐ決意をしたのは、「古くから続く日本の伝統文化と、先代の思いを守りたい」という強い想いからでした。

東京農業大学・醸造科で学び、群馬の酒造メーカーで2年間修行を重ねた後、2013年に実家の蔵へ戻りました。

しかしその時、杜氏だったお父さまはすでに大病を患っていて、酒造りの状況や蔵の経営も苦しい状況だったそうです。

そんな中、父とともに一心で挑んだ初仕込みは、気が休まることのない毎日。

何度も酒の状態を見に戻るほど心配で、眠れない夜が続き、 仕込みが終わる頃にはげっそり痩せていたそうです。

「お酒造りって命削りながら作るんだね」

そんな沙奈恵さんをみてお父様は「もう大丈夫だな。来年から任せるよ」と蔵を沙奈恵さんに託したそうです。

嬉しさとともに、背中にのしかかるようなプレッシャー。

そのどちらも噛みしめながら、沙奈恵さんは杜氏になることを決意されました。

ご本人の目の輝きが、そんな力強い生き様そのものを表しているように思えます。


日光連山の伏流水「仕込み水」のこだわり

相良酒造のお酒の味わいを決める大切な要素。それは「水」です。

蔵には、なんと3つの井戸があります。

これらの井戸水は、日光連山から流れる伏流水

伏流水とは、河川の水が地中に染み込み、地下を流れる水のこと。

地下水の一種で、地表の水に比べて濁りが少なく、水質が良いのが特徴です。

実際に飲んでみるとやわらかく、ほのかに甘みを感じるやさしい水は、まさに蔵の“宝”なのだそう。

「日本酒の約8割は水。この代々受け継がれた軟水を活かした美味しい酒造りがしたい」 そう語る沙奈恵さん。

水質にこだわりこの地を選んで創業したご先祖さまも、きっと喜んでいるのではないのでしょうか。


父から教わった「お酒の育て方」

“酒造りは子育てと一緒。愛情を注いだ分だけ、返ってくる。”

これはお父さまから教わった酒造りの姿勢だそう。

杜氏としての責任と、母性のような優しさがにじむ表現ですよね。

実際、酒母を仕込む工程では、お米たちを手で優しく混ぜながら温度を確認していくそうです。

「この瞬間が、いちばん母性が働くんです。」 と語る沙奈恵さん。

毎日、お社と神棚にお祈りを欠かさず、「事故なく仕込みが終わりますように」「絞りの日、美味しいお酒に仕上がりますように」

そんな風に手を合わせる姿に、先代の想いをしかと受け継ぐ酒造りへの想いの深さが伝わってきます。


隣で支えてくれる母の存在

そしてもう一人、酒造りを陰で支えているのが、お母さまの存在です。

「夫が他界した時、この蔵も終わりかなと思っていた。」

そんなお母さまは、娘の決意と酒造りに奮闘する姿を見て、事務仕事や瓶詰めにとどまらず、自ら酒造りの現場にも立つようになったそうです。

「風邪ひとつ引かずに頑張れているのは、母のおかげ」と話す沙奈恵さんの言葉から、何としても娘を守りたいという強くて優しい母の愛情を感じますね。


相良酒造の新たな挑戦「濡葉」

相良(さがら)酒造の代表銘柄「朝日榮(あさひさかえ)」。

青葉に寄り添う朝露をイメージして名付けられました。

透明感のある味わいと、凛としたキレ、軟水由来のやわらかさが特徴です。

そんな朝日榮をもとに造り上げられた、十彩プロジェクト限定のといろのお酒、朝日榮「濡葉(ぬれは)」

No3. 濡葉(ぬれは)

相良酒造(栃木県)朝日榮

蔵元杜氏/相良 沙奈恵

鮮やかさが心地良い、雨に濡れた葉の色「濡葉」のように、みずみずしい輝きに満ちた杜氏の想いが沁み渡る一本。

やや辛口で、やわらかく透明感のある味わいとやさしく上品なキレが特徴です。

実際に飲んでみると、すっきりと芯がある味わいですが、お水の柔らかさがを感じる桃のような風味も特徴的です。

他の十彩メンバーは、「美味しすぎて飲み込みたくない(飲み込みたくないという意味)」とコメントしていました(笑)


かつての輝きを取り戻すために

「かつての繁栄を取り戻したい」
「先代たちが見ていた景色を、私も見てみたい」

それは決して懐古主義ではなく、未来へと続く「新たな伝統の始まり」なのだと私は感じます。

女性がリーダーとなって力仕事や経営も一手に担う姿に、勇気をもらう方も多いはず。

“和醸良酒”――
和の心が、良いお酒を生み出し、良いお酒がまた人の和を生む。

相良酒造のお酒は、そんな日本の美しい循環を体現していると思います。

これからの未来を担う、若き匠をみんなで応援しませんか?

日本の心を届けるお酒「濡葉」を、ぜひ一度味わってみてくださいね。


💡2025年4月より毎日深夜2時〜

BS日テレで放送中!(日曜除く)

日本各地の100年以上の歴史を持つ酒蔵で、若き蔵元や杜氏が挑む酒造りの物語。
その真摯な姿と熱い想いを追うドキュメンタリー番組。

『その酒に人は宿る 若き匠が挑む、10の物語』

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