こんにちは。ベルです。
今回ご紹介したいのは No.7 白群(びゃくぐん) を造る、福井県吉田郡永平寺町にある酒蔵「吉田酒造」さん。
凛とした空気と、川・田んぼ・山に囲まれたこの土地で、200年以上続く酒蔵です。
郷土の自然の恵みを生かして土作りからこだわった、永平寺の風景や歴史を感じさせる酒造り。
そのお酒は、飲む人の心にスッと染みわたるような、”土地の記憶を映す”一杯。
家族の想いを継ぐ、杜氏・真子さんの酒造り
酒蔵の次女として生まれた杜氏・吉田真子さん。
もともと蔵に入るつもりはなかったようで、日本酒は遠い存在だったそうです。
そんな彼女が酒造りの道を選んだきっかけは、母・由香里さんからの一本の電話でした。
「帰ってきてほしい」
それまで一度も言われたことのなかった言葉を母の口から聞き、「よほどのことだ」と思い帰る決心をしたそうです。
戻ってきた当初は、学びながらの日々。
2年目には、なんと杜氏が退任し、まこさんがすべてを任されることになりました。
眠れないほどのプレッシャーのなか、文献やデータを片手に、麹の状態やもろみの変化をひとつひとつ覚えていったそう。
母・由香里さんは「クレームが一切なかったことは救いだったけど、彼女自身が疲れきってしまったのが一番心配だった」と振り返っておられました。
そんなある日、北海道の上川大雪酒造から「試験醸造に参加してほしい。」と声がかかります。
渋々行ったその場所で出会ったのが、杜氏・川端さん。
内心では「また酒造り?」と思っていたものの、米の香り、麹の仕上がり、酒造りの本質に初めて腑に落ち、「福井に持ち帰って、自分でもやってみたい」と思ったそうです。
この出会いが、再びまこさんを酒造りへと向かわせる大きな転機となりました。
父から教わった、土作りからの酒造り
「いいお米じゃないと、いいお酒は造れない。原料米以上の酒はできない。」
これは、まこさんの故・お父様が遺した大切な教えです。
吉田酒造では30年ほど前から自社で山田錦(お米の品種)の栽培を始め、今では永平寺町内の半径10km圏内で約20ヘクタールの田んぼを管理しています。
お酒造りは“土作りから”と考え、父が残してくれた「目が届く、手が届く、心が届く」という言葉をモットーに、土作りから真摯に向き合っています。
十彩限定「百群(びゃくぐん)」をご紹介
そんな吉田酒造のクラフツマンシップに共感し、今回十彩プロジェクトではといろのお酒「百群(びゃくぐん)」を造り上げました。
No.7 白群(びゃくぐん)
吉田酒造(福井県)永平寺白龍
杜氏/吉田真子
淡い色彩ながら存在感のある輝きを放つ色「白群」のように、華やかで芯のある杜氏が生み出す一本。ふくよかな香りと、優しい味わいに仕上がりました。
飲み始めはやわらかく、次第に酸味がキリッと立つ、風味のバランスが見事です。
永平寺テロワールの未来へ
吉田酒造は、今では姉・祥子さんも加わり、姉妹+母の3人と数名のスタッフさんで蔵を支えています。
真子さんが杜氏、祥子さんが営業や商品開発、母・由香里さんが全体を見守る。
役割は違えど、家族の想いはひとつ。
土地に根ざし、風土を生かす「永平寺テロワール」。
「杜氏になっていなければ、この土地の価値に気づけなかったかもしれない」
真子さんはそう語ります。
きれいな水。澄んだ空気。凛とした風。そして、それを支える人の手。
すべてが詰まった一杯は、大自然の恵みと永平寺の歴史を感じさせる贅沢な味わい。
吉田酒造と永平寺テロワールの物語がずっとずっと続いていきますように。
💡2025年4月より毎日深夜2時〜
BS日テレで放送中!(日曜除く)
日本各地の100年以上の歴史を持つ酒蔵で、若き蔵元や杜氏が挑む酒造りの物語。
その真摯な姿と熱い想いを追うドキュメンタリー番組。
『その酒に人は宿る 若き匠が挑む、10の物語』