地元への愛が生んだ、酒蔵の再出発
こんにちは、グッティです。
今回は「No10. 紅藤(べにふじ)」を造る長崎の「森酒造場」さんをご紹介します。
長崎・平戸。
かつて“フィランド”と呼ばれた海風香る港町に、いま注目を集める酒蔵「森酒造場」があります。
若き杜氏・森雄太郎さんは、廃業寸前だったこの酒蔵を自らの手で再生し、「平戸の風土を映す酒」を目指して挑戦を続けています。
廃業寸前。ゼロからの再スタート。
森さんは酒蔵の家に生まれ、幼い頃から家業を継ぐと決めていました。
大学院まで進学して日本酒の成分を科学的に学び、宮城県の酒蔵で修行を積んでいく中で酒造りに大きな魅力を感じていきます。
そんなある日、実家から戻ってきてほしいという連絡が届きます。
急逝した杜氏、荒れ果てた蔵。
そして最大で800石ほどもあった生産量は、わずか50石にまで落ち込んでいました。
自分が育った環境を、どうしても残したい。
その一心で、森さんは蔵を継ぐことを決意します。
すべてを変えるために
地元・平戸に戻った森さんがまず取り組んだのは、酒蔵の改修でした。
酒造りができる環境ではなかった蔵を、2年かけて地道に整備。
さらに、すべての工程を「ひとりでも」「誰にでも」担えるよう、酒造りの仕組みそのものを見直し、再構築していきます。
かつては閉鎖的で好きになれなかったこの土地も、大人になって改めて向き合ってみると、魅力があふれていた——。
そう語る森さんは「平戸を表現する酒をつくろう」と心に決め、平戸の水と米、そして蔵に棲みつく乳酸菌の力を活かした伝統の「生酛(きもと)造り」に挑戦。
昔ながらの手間と時間のかかるこの製法に、科学的な視点と工夫を掛け合わせ、現代でも少人数でも実現できる“新しい生酛造り”を形にしていきました。
顔が見えるものづくりへ
改革の成果もあり、現在では生産量が10倍に増加し、その繊細で奥行きのある味を求めて、全国から注目される蔵になりました。
仕組みの改革によって蔵人たちもしっかり休みが取れるようになり、蔵には明るい空気が流れています。
「菌にも、きっと雰囲気は伝わると思うんです。」
森さんは、そう語ります。
「おいしい日本酒が溢れている中で『あえて選ぶなら造り手の顔が見えて、蔵の考え方が好きだから飲む』という選択肢があると思います。」
森さんが造る、平戸の水と米、そして蔵付きの菌で醸す酒。
そこには平戸の風土と伝統、そして造り手の情熱が詰まっています。
森酒造場の平戸への愛が詰まった一本「紅藤」
そんな森酒造場の挑戦を応援したいという思いから、
十彩では新しい日本酒「紅藤(べにふじ)」をともに造り上げました。
No10. 紅藤(べにふじ)
森酒造場(長崎県)
杜氏 森雄太郎
江戸時代に若向きの色とされた 「紅藤」 のように、
若き気鋭の科学的観点と自然に任せた酒造りから生まれた新感覚の一本。
濃醇な甘みがありながら飲み口は軽く、後味はとてもすっきりとしています。
フルーティーで奥行きのある甘みが、特別なデザートのように感じられる一杯です。
地元への愛と伝統を大切にしながら、常に新しい挑戦を続ける森酒造場。
そのクラフトマンシップを、あなたも応援してみませんか?
💡2025年4月より毎日深夜2時〜
BS日テレで放送中!(日曜除く)
日本各地の100年以上の歴史を持つ酒蔵で、若き蔵元や杜氏が挑む酒造りの物語。
その真摯な姿と熱い想いを追うドキュメンタリー番組。
『その酒に人は宿る 若き匠が挑む、10の物語』